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インド通信バックナンバー
1998.6.1発行、第236号
このひと月の南アジア、と言ったら「インドの核実験とパキスタンの追随危機」に尽きるでしょう。インドネシア情勢に薄められた感もありますが、日本の対南アジア外交がこんなに緊迫して、注目されたのは最近では例が無いらしいです。休日返上、連日徹夜を嘆きながら、その筋の方がそう言っていました。ほかにも、文化交流行事がキャンセルになりそう、とか残業して準備した援助計画が取りやめになった、等嘆きの声が聞こえてきます。実験のあった時刻に都内で開かれた「BJP政権の展望」という研究会では、「核実験やるか、やらないか」という議論をしていました（私も参加していました）。あまりの偶然に絶句です。
インド通信では95年、通巻200号の時に読者アンケートをして、インド、南アジアに関連して興味のあること、を列挙した項目の中から選んでもらったことがあります。だいたい「文化、民族、宗教」あたりを挙げる回答が多かったのですが、一方誰も○をつけなかった項目に「核開発」がありました。それだけでなく、「これは何かのジョークですか？」など、理解できないとの添え書きをしていた人が複数いて、今ではインドが核技術を持っていることを知らない人も多いのだなぁ（何せ前の実験は74年だし）、と感じたことを思い出します。
テレビなどでも「ガンディーの国がなぜ？」なんて、いわれていますが、インド好きを辞任する中にも「正直インドにそんな先進技術があるとは思わなかった」と言う声も。まだまだ事件への評価を下す時期ではありませんが、いずれにせよ、私たちにとっても南アジアへの認識を新たにさせる事件だった、ということは言えるのではないでしょうか。
目次
・南アジア地誌事典・第30回：Milky Stateグジャラート（船生あみな）
・インドの植物：ギメ・シャーク（西岡直樹）
・私だけのインド料理講座・中級編：ジャガイモのタルカーリ、豆粉を使ったスナック（由利三）
・India Stamp Collection: 切手で見る印パ原子力開発競争（黒崎卓）
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