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　5月の半ばから約一月、イギリスでクリケットのワールドカップが開催されている。日本人にはほとんど興味のないスポーツなので、ニュースでの紹介も皆無に近い。1970年代に始まった（3〜4年に一度開催される）歴史の浅い競技会だが、南アジアにとっては世界最大のスポーツの祭典だ。サッカーだってメじゃない。なにしろインド、パキスタン、バングラ、スリランカがこの国際試合に出場し、バングラを除く三国にはワールドチャンピオンに輝いた実績があるのだ。他の競技ではこんなわけにはいかないだろう。
　クリケットはイギリスが発祥で、今も旧英領とヨーロッパの一部では盛んに行われている。当然南アジアはその伝統の下にある。その後いろいろなスポーツが入ってきたが、ダントツ人気スポーツの地位を保っている。やはり、国内でプレーされ世界的にもある程度の強さでいるからだろう（いくらテレビのNBAが人気でもインド・チームが世界的に通用するとは誰も期待していない）。しかも、80年代末から急速に普及したテレビによって皆が観るスポーツになり、人気の底辺が急速に拡大した。90年代初までインドのカピール・デーヴとパキスタンのイムラーン・カーン（ダイアナ元皇太子妃のオトモダチでもあった）という南アジア出身の世界的ヒーローが存在し、スリランカと印パで共同開催した前回の96年大会ではほとんど下馬評にも上がらなかったスリランカが優勝し、今大会でもインドのサチン・テンドゥルカル（開会直後に父親が死去して一時帰国したことがインドの新聞のトップ記事になった。その間の試合にインドは負けた）、パキスタンのワジーム・アクラムらが注目されている。
　これを書いている予選リーグ途中までパキスタンは５戦全勝と絶好調。大会直前に主力選手の八百長疑惑もあっただけに、お国では勝つごとに各地でお祭り、死者まで出る騒ぎになっている。

南アジア地誌事典・第40回「日本---タンジャイ---コドゥマナル」深尾淳一
　＃　右上地図の星印は「南アジア地誌事典」にこれまで登場した主要な土地
パキスタン滞在記(6)　寺田由夏
私だけのインド料理講座、中級編：シンプルな炊き込み御飯、トマトのラッサム (由利三)

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