| Mariamma's Homepage（インド、南アジア総合情報） |
|
|
インド通信バックナンバー
2017.4.1発行、第462号
2017年2月2日から5日に、デリーの巨大なメッセ会場プラガティ・マイダーン
でIndia Gaming Showという催しがあった。日本、韓国、欧州などのゲーム会社
が集う見本市だが、日本からはアニメや複合型娯楽コンテンツ、キャラクターグッ
ズなどのプロモーションも行われた。最新型ヴァーチャル対戦などでインドの若
者たちのボルテージがあがるゲーム部門に比べて展示も動員もかなり地味だった
のだが、実は一部のコアなファンからすれば画期的な企画がインドに持ち込まれ
ていたのだ。
漫画、アニメ、ゲームを原作にして若いアイドル俳優陣で舞台化する「2.5次
元ミュージカル」と呼ばれるジャンルで、現在日本ではチケット入手すら難しく、
関連グッズは発売と同時に売り切れる旬の中の旬コンテンツである『刀剣乱舞』
の6人の俳優が来印。お神楽舞台ほどの小さなステージで、観客との距離は1メー
トルにも満たず、刀を振るって乱舞する「刀剣男子」の衣装や小道具の端が触れ
そうな近さ。これは日本ではあり得ない、本家ファンなら卒倒もの…勿体ない、
と思いきや、ええええ〜ステージ最前列には本家を凌ぐ熱狂ぶりのインド女子が
かぶりつきで悲鳴と声援を送っていたのだ。
インドの北東州地域では、少し前から韓国ドラマやKポップが人気を集めてい
る。自分たちに似た外見に、ボリウッドに代表される自国の娯楽よりも感情移入
できるというのだ。日本製アニメはすでにインド市場に浸透しており、その原作
である漫画本（英語訳）を読むインド人もいる。さらに吹き替えや翻訳なしに最
新作を楽しむため言葉を習う熱心なファンも少なくない。北東州のような特殊事
情のないインドの他地域でも、人と違うものを求める尖った若者や、日本アニメ
が普及した国から戻ったインド版帰国子女らが、動画サイトやネット通販の普及
で日本の最新ポップカルチャーに瞬時に触れることができるようになった環境か
ら、その辺の日本人が全く知らない日本世界にのめり込んでいるというわけなの
だ。彼女ら曰く、「日本のインド映画ファンが大概のインド人より熱いのと同じ
ね」
（以下は誌面上では写真のキャプションです。ウェブ版では写真掲載はありませ
ん）
クオリティの高いコスプレで異彩を放ち、会場のインド人の驚愕と狂喜の目を
集めたのは、ＮＡＪ（ナガランド・アニメ・ジャンキー=中毒）という日本アニ
メ＋カルチャー愛好集団の精鋭。インド有数のコスプレイヤーとして知られ、ナ
ガランド・コスプレ・フェスタの勝者は毎年のようにインド代表として日本で開
催される世界コスプレ・サミットに出場している。動画サイトで公開されている
ナガランド大会の映像はプロのクリップ並みの完成度。
インド各地から駆け付けた、ＮＡＪメンバーを含むナガランド出身のファンた
ちは自ら認める「真性インド腐女子」。彼女たちの会話にはオタク、イケメン、
アキハバラ、ドウジンシ（同人誌）などの言葉がポンポン。「私たちのネットワー
クの熱狂度は、日本のコミックやアニメの最新事情を日本で発表された翌日には
フォローできるくらいですよ」
デリーのお嬢様女子大生。日本のゲームセンターでしか入手できないレアな
「刀剣男子」キャラクター人形はネットのオークションでゲットしたとか。「東
京は私の夢の場所、絶対日本に行きます！」
初音ミク色の髪、ツインテール、超ミニセーラー服、ゴスロリ…と「萌え」ファッ
ションで決めまくった三人娘は、刀剣ステージの最初から最後まで最前列の中央
で涙を流して絶叫していた。筆者が「自分も娘も学校の制服がセーラー服だった
（スカート丈はもっと長い）」と写真を示すと、「日本の女の子は本当にこんな
服で学校に行けるの？羨まし過ぎる。現実のセーラームーンね！」
目次
・南アジア地誌事典 第237回 「インドの良心 チェンナイおじさんとの日々」 （松田 琢哉）
・私だけのインド料理講座 上級編 ヴェジタリアン料理 No.30 第8回 タミルナードゥー
「URULAI KHRANGU PODIMAS（じゃがいも料理）」 （由 利 三）
・「Proud to be an Indian Fu-joshi インドの腐女子をどうぞよろしく」 （編集部：巻頭コラム参照）
一月前を見るには"BACK"、一月後を見るには"NEXT"をクリック！
 
|